刑事コロンボ 別れのワイン 1974年6月29日放送
1972年に放送開始された『刑事コロンボ』は、それまで一般的ではなかった倒序形式の推理ドラマが新鮮で、何よりピーター・フォークが演じたコロンボ刑事(実際は警部補)のキャラクターが魅力的だった。
『別れのワイン』はコロンボシリーズで最も好きな作品のひとつ。
ワインをこよなく愛するカッシーニ・ワイナリーの経営者エイドリアンは、会社を身売りするという弟リックと言い争いになり、殴り倒してワイン倉庫に閉じこめたままニューヨークへ出かける・・・
『コロンボ』に出てくる犯人は金持ちのイケ好かない野郎(なぜかモミアゲが長い)が多いが、本作ではそっちが殺され、善人にしか見えないほうが犯人だった。 犯人役のドナルド・プレザンスを映画『大脱走』にいい人だと刷り込まれていたせいもあるが・・
原題の“Any Old Port In A Storm”は、ラストに使われるポルト(ポートワイン)を慣用句の“any port in a storm”(窮余の策)にひっかけてある。
計画犯罪が多い『コロンボ』の犯人には珍しく、衝動的に殺人を犯すのだが、最後に犯行を認めたのは人生の監獄から逃れる窮余の策でもあった。 推理劇というより良くできた人間ドラマだ。
『コロンボ』はNHKで放送されたのでCMが入らなかった。犯行は冒頭に行われるので、その背景は駆け足で描写される。また、推理の伏線も張られるので特に前半の密度が高く目が離せない。
途中トイレに立てないので事前に用を足し、飲み物や食べ物を準備して鑑賞したものだ。この緊張感やワクワク感は、録画もレンタルも簡単に手に入る今では味わえなくなった。
ラストシーンのコロンボは明らかに飲酒運転(しかも行き先は警察署)なのだが、さすがカリフォルニアワインのお膝元。罪にはならないのだった(当時)。
《余談》
コロンボといえばお正月の『新春スターかくし芸大会』の井上順。 当時、外人の扮装をさせるとピカイチだった。井上は1974年、世界初フラッシュ内蔵カメラ「ピッカリコニカ」のCMに出ていた。 当時「ジャーニーコニカ」のCMで 「じゃ〜に〜(じゃあね)」 といってたが、芸風は今も変わらない。