それにはちゃんと理由があった。
少年の頃の遠い記憶のせいで。
きっかけとなったのは、学習月刊誌。 記憶がおぼろになった今となっては推測にしか過ぎないが、その月刊誌の名前は、 おそらく学研の「科学」か「学習」。 この学研の「科学」と「学習」という月刊誌は、御存知の方も多いことだろう。 毎号いかした教材(「付録」とは呼ばないところがニクイ)で読者を魅了していた学習月刊誌だった。
あれは確か小学六年の夏休み号だったと思う。 「科学」だったか「学習」だったか、どちらであったかはもう忘れてしまったが (「科学」だったような気がするが)、「夏休みの自由研究ネタ」企画があった。 子供達が、ある無人島に渡り、その島の調査をするという企画があった。 で、子供達が渡った無人島の名前こそ、この福部島であった筈だ。
「無人島」。この響きよ!
東京で暮らしてる子供にとっては、なんてそそられる響きであったことか! アニメや漫画の「冒険ガボテン島」という作品の影響もあったのは間違いない。 ガボテン島の他にも、例えば「十五少年漂流記」(ガボテン島はこの作品がヒントになっている筈)という物語もあったが、漫画小僧だった私にとっては、 やはり「冒険ガボテン島」だった。
皆さんは「無人島」という言葉から何を想像するだろうか? 考えてみれば、無人島なんて無数にある。 人それぞれの、その人だけの無人島像があることだろう。
ある時それは絶海の孤島かもしれない。
(例えばアイルランドの海に浮かぶスケリグ・マイケル)
身近な海岸から沖の方に見える、ちっぽけな岩の固まりかもしれない。
(う〜ん、小さい岩などの場合、島と呼べるのか?)
平ぺったい島である場合もあろうし、空に高く突き出た尖った島かもしれない。 (ちなみに、ガボテン島は後者にあたる。)
以前は人が住んでいたが、今ではさびれて誰も住まなくなった島だったりもする。 (前述のスケリグ・マイケルは、これにもあてはまる。ちなみに、そこは昔は修道院だったとか。ともかく私をひきつけてやまぬ島で、マチュピチュ遺跡やギアナ高地と並んで、死ぬまでに一度は行ってみたい場所の一つ。)
南方の暖かいエリアに浮かぶ、ヤシの木でも生えたトロピカルな小島だったり。 (このイメージを持つ人は、けっこう多いかもしれない。)
かと言えば、深淵な北方の海や湖に浮かぶ神秘的な島だったり。
(例えば摩周湖のカムイシュ島。)
あるいは、人にまだ見つけられていない島とか。
(で、そこには精霊や未発見の動・植物がいたりすると面白い。)
かと言えば、絶滅危惧種や貴重生物の保護のため、無人島のまま保護されてる島とか。 (ガラパゴスなどがそれにあたる。←これまたいつか行ってみたい・・)
「海賊の宝なんかが埋められてる秘密の無人島・・・なんてのも面白い。」 (ちなみに、鹿児島のトカラ列島にはスティーブンソンの「宝島」のモデルとなった、 その名もズバリ「宝島」という名の島がある。海賊キャプテンキッドの宝があったとさ れる島だ!ただし、有人島であって、無人島ではないが・・・)
挙げればいくらでも例は出てくる。
他にも、まだまだ沢山の無人島像があることだろう。
ど うも普段の生活からあまりにかけ離れているだけに、様々なイメージが湧く。 中には実在するお気に入りの無人島の名前を挙げられる人もいるかもしれない。 特に海沿いに住んでいる人は。 だが、実際に無人島体験した人にとっては、無人島とは決してそんな甘いものではないだろう。
食料、電気、飲料水、住居、医療、通信・・・他、様々な問題がある。 猛獣でも居た日には、身を守る術も必要になってくる。 サバイバル生活なのだから。 誰かと複数で過ごすことにでもなれば、当然人間関係もからんでくる。 これなんかデリケートな問題だ。
数年前、某テレビ番組で、無人島での生活、及びそこからの脱出の企画があったが、 その映像見てたら無人島生活は悲惨であった。 ガボテン島での生活など夢のまた夢に過ぎないし、それは一種のファンタジーでもあった。
(もっとも、登場人物達のサバイバル生活の苦労や問題点も描かれていたが、 子供心にはそれは楽しそうに見えた)
だが。 漫画等から自由にイメージを脹らまし空想するのは、子供の自由だし、特権でもある。 そして才能でもある。 それが夢となり現実生活に昇華し、大人になった時、何かに結びつく人もいるだろう。 子供は進路に選択肢が多いのだ。
昔、子供達は近くの遊び場で「本拠地」とか「秘密の隠れ家」等を 作ったりしたものだった。(今の子供もやるんだろうか?) 私とて例外ではなかった。 そして、その究極の「本拠地」「秘密の隠れ家」のイメージこそ無人島であった。
親も先生もいない、友達同士だけのメンバーがそこに居て、見張り場所、会議室、 くつろぎの場所、応接室、娯楽施設、寝室、食堂などを作りたかった。 そうそう、木と木の間にはハンモックを吊るし、昼寝の場所も設置したかった。 あと、抜け穴、秘密の退避所なんかも! なにせ無人島、スペースはいくらでもある(笑)。
ガボテン島がそんな感じだったし、少年マガジンやサンデーやキングと言った 少年週刊誌の口絵コーナーにも、よくそんな秘密基地の図解があった。 (特に大伴昌司のグラビア!) 見たり読んだりするたびにワクワクしたもんだ。
話 を元に戻すが、そんなイメージがあったから、前述した学習月刊誌の 「子供達の無人島調査」企画にはワクワクした。 参加した子供達が羨ましかった。
それ以来、かつて小学生が探査した福部島という名前は、私の心の中に深く刻まれていた。 自分なりに様々なイメージを膨らませて。 どんな島だったのだろう・・・・という思いと共に。