昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: Jul.2003
ぽむぽむのなつかし日記  9
華麗なる?雑貨遍歴 〜3〜
        正しいクリスマスの過ごし方


さいでんなーー♪ ほーーでんなーー♪
関西ではクリスマスソングはこう歌う…………わけではない。

子供のころの理想のクリスマス。それは少女マンガの中にあった。 赤々と燃える暖炉のある広い部屋に巨大なクリスマスツリー。 ツリーの下には豪華なプレゼントの山。 外は降り積もる雪…… 正装で語らう人々、豪華なディナー、シャンパングラスのなる音、静かに流れるクリスマスソング。

しかし、現実は厳しい…・・ 我家に用意できるのは、ねだりにねだって勝ち取ったクリスマスケーキだけである。せめてクリスマス三種の神器「ケーキ・ツリー・プレゼント」位は何がなくとも用意したい物であるが、何しろ回りは敬虔なる仏教徒ばかり。異教の行事は受け入れないのである。

「クリスマス? なんじゃそれ? キリシタンバテレンの祭りかい?」そのむかし、キリシタンバテレンが滅び仏教徒が移住してきて出来たわが町では尚更、古式復活は許されぬらしい……
「ううっ、エロイムエッサイムわれは求め訴えたり ツリーと プレゼントを我が手に! 魔界転生――――――――!」

叫んだところで始まらないのである。何とかしなければ! プレゼントはともかくツリーは何とかなりそうではないか。手ごろな木に飾りを付ければいいのである。よし、光明が見えてきたぞ!という事で庭をば見渡す……

冬枯れの庭…・落葉樹は葉を落とし切って骨と化していた… ただ一本、青々と葉を茂らせた木があるが… それは、松! あれで作ったら間違いなく正月飾りと化すであろう… やれやれ・・

途方に暮れている頭の片隅になにかひらめく物があった! あれだ! おばあちゃん家の庭に洋風のツリーにピッタリの木があったはず! それも生垣代わりに庭を囲んであるので、かなり沢山!

さっそく小枝を貰ってきて飾り付ける。 色紙で作った金の星、赤い長靴、プレゼント、従姉妹のお姉さんに貰ったネックレスを撒きつけて、母に綿をねだる。 しかし母のくれた綿は黒い蒲団綿であった。ゲロゲロ、これではいけない。 コッソリと薬箱から真っ白い綿を盗み出す。 そうそう、こうこなくっちゃ! ちぎっては枝のあちこちに散らしてゆく。 上出来だ! ちょっと薬くさいけど…… 後、光物がほしい。理科実験材料箱を探して、豆電球四個発見! 電球のそれぞれをカラフルな四色のセロファンで巻く。配線を繋いで点灯!「おおーー 文明開化!」どことなくシュールなツリーの完成である!

そのとき、私の耳に朗報が飛び込んだ。都心に出ていた叔父の帰省である。プレゼントをねだるなら、この方を置いて他にあるまい。さっそく行動! 念願のお菓子の入った長靴二つ(弟の分も合わせて)ゲット! わが町にオモチャ屋はなかったが、お菓子屋はあったのである。気の利く叔父は都心からソノシートつきクリスマスカードを買ってきてくれていたので、今年はBGMもばっちり!

コラムニスト ぽむ

昭和39年 長崎生まれ。 元気いっぱいの女の子でした。動物・海・読書が好き。



© ぽむ
かくして、クリスマスの夜は更ける。

© ぽむ
その夜、我家からは同じ曲に飽きた子供達によって回転数を変えられて間延びしたジングルベルや、へリウムガス吸って早口言葉を言っているようなジングルベルが流れ続けたのである。
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