キャラを鉛筆描きしてペン入れすると少しばかり雰囲気が変わってしまう。 瞳の微妙な中間色が表現しきれないのである。 瞳こそキャラの命、描き手が思い入れをこめる部分である。鉛筆ばかりで描いてきて 、 瞳を微妙な濃淡で仕上げる癖がついてしまっているので、ペンでなぞると勢いが死んでしまう。
この頃になると、手元に幾冊かのコミックも持っていたのであれやこれやと色々な作家の色々なキャラで試してみる。
まずは、少女マンガ。「みき&ユーティ」(成田美奈子)、「ノストラ探偵団」(かわみなみ)、「はみだしっこ」(三原順)、「妖精王」(山岸涼子)、「ゆんのまわり」(高丘千栄子)…などなど。
しかし、全て全滅。少女マンガは描き込みが多く、背景は複雑トーンの使用率は高く、種類は豊富であった。あえなく挫折し、唯一何とかなったのはパタリロの顔面… しかし、背景は複雑すぎた… 丸写しで、全てのコマがパタリロの顔面… 完成図を想像して鳥肌がたった。
少年誌へ行く。 「ドカベン」(水島新司)、一コマ描いて挫折、途方も無い時間がかかった… 「W3」・「バンパイア」(手塚治虫)、「サイボーグ009」(石森章太郎)。 最終的にこのあたりに絞り込まれる。そして、なるべく描きたい思い入れがあって、コマが大きく特殊な技法が少なく好きなキャラが多い場面・・ あれこれ、ややっこしい注文をつけているうちに009に決定!
鉛筆で下絵の段階は慣れているのでスムーズ。 問題のペン入れにさしかかる。 まずはウオーミングアップに背景のみの小さい所から・・ 枠は竹ペンで処理し中はスプーンペンで、このあたりはなんとかなるが・・ 結構ドキドキモノである。
気をよくして、次は一番描きたい場面の戦闘シーンアップへ! キャラは、快心の出来! 深夜、一人の部屋でブキミにほくそえむ… 「よし、いいぞ! 天才!(どこが…)」「今夜、このコマを仕上げたら、寝るとしよ う・・ フフフ」独り言まで飛び出して、気色の悪い事この上ない…
いよいよ、苦労して作った「雲型」の登場である。 スムーズに線を引くイメトレをしながら、まずは他の紙にて練習。定規の下に底上げの台を貼り付けてペン軸を滑らせるよう工夫済み。準備は万端なのである。 二度三度、引いてみる。調子がイイ。よし! いざ原稿へ!
しゃーーーーべちょ! あう !? やってしまった… 微妙に定規に凹凸が残っていた・・ やすりのかけ方が足りなかったらしい。ペンの角度が狂ってペン先に定規が当たり、墨汁は原稿一面に飛び散った。
ジョーの顔は墨汁で汚れた。
作者の顔は、ムンクの叫びになった。(BGMは地上の星)
作者は、凍りついた…・・

