昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: Jul.2003
ぽむぽむのなつかし日記  11
年の初めの…

あけましておめでとうございます。

年の初めのためしとて〜 終わり無き世のめでたさを〜 ♪

お正月の朝の光は特別である。 昨日と同じ陽の光なのに、まるで新品の太陽から発せられた新品の陽の光のように清清しい。

コラムニスト ぽむ

昭和39年 長崎生まれ。 元気いっぱいの女の子でした。動物・海・読書が好き。
お正月の過ごし方は、毎年判で押した様に決まっていた。 起床時間がいつもより3時間ほど遅くなる。

「お正月にバタバ タすると、お正月が逃げてしまうので、出来るだけのんびりする方がよい」と言う両親の方針だった。 子供の立場では、何か楽しい事が待っているウキウキ感で興奮しているので、横になっているのは退屈で仕方がない。

やっと起床時間になって、お節の並ぶ食卓に着き、新年の挨拶を交わす。 食事が終わると、母の実家へ正月の挨拶に向かうのである。 出かける前に着替えるのだが、この日ばかりは何もかもを新品にしておろし立てを着る。

しかし、新品とはいえ我家の場合それはジャージであった。 なぜジャージなのか? それは、祖母の家に集まる従兄弟達の面倒を見るのがわたしの役目だったからである。 中学生の頃の私には、十を頭に5人の従兄弟がいて、内3人は幼稚園児。揃いも揃って皆男の子だったのである。

毎年決まって、晴れ着など着ている場合ではない状況になる。 チビたちを飽きさせずに遊ばせる為のグッズをあれこれと、お気に入りのマジソンバッグに詰め込む。 メーカーは『PUMA』の黒である。

そのとき、不意にテレビCMが私の目を引いた。 『お正月を写そ きれいな晴れ着を 写そ』。 そうだよな〜晴れ着は無理でも、ちょっとばっかし華やかさも欲しいよな〜 と言う事で、昔から持っているちょっと古ぼけた羽子板と羽根を、そっとバッグにしまいこむ。

祖母の家に到着するや否や、さっそく挨拶もそこそこにチビたちが飛び掛ってくる。 襖を取り去って広々とした座敷で、さっそく相撲の相手である。 持ち上げては振り回し、怪我をさせないようにそっと降ろす。1対5なので、幼稚園児は片手に一人づつ、二人いっぺんに相手をする。

昼食後には場所を外に移す。 田舎なので空き地は豊富なのである。 従兄弟達が流行のゲイラカイトを揚げたがるので、電柱のない場所まで出向いて風向きをみる。揚げ始めが難しいのでそこまでやっておいて、安定したところで手渡す。

5人に3本、喧嘩のないよう交代を指示し、絡まぬよう適当にそれぞれの距離を置く。 以前の紙製品に比べれば格段に揚げやすいし、木にひっかかっても破れないし、とんでもない優れものであった。さすがに「ヒューストンからやってきた」と豪語するだけの事はある。 抜けるような青空に、カラフルな目玉模様のデザインも斬新だ。

凧揚げの次は、独楽回しである。 小学生二人は喧嘩独楽、お互いの独楽をぶつけ合って勝負を競う。 幼稚園児には紐を巻いてやって、手をとって一緒に投げて回す。 これも順番である。

あれこれと遊びに興じている時に、ふとある事を思い出した。 羽子板である! チビたちはゴムボールでキャッチボールに興じているので、 いいタイミングだ。 ボールが危険な場所へそれた時にだけ取りに行けばいい。

さっそく取り出して羽根を打ってみる。 カーン コーン 涼しげな音が響く。 一人連続打ち記録更新を狙おうか… 羽根は回転しながら落ちてくるので、 それを見るのがまた楽しい。

数回打ったところで、こちらへ向けてゴムボールが飛んできた!
カ・キーン
条件反射で、いきなりドカベンに変身である。 「打てないボールがあるものか〜♪」 ボールは、遥か空き地のはずれを飛び越して、藪の中に突っ込んだ。 優雅な羽根突きは一瞬で終わり、野球大会に早変わりである。

一日遊んで帰ってみれば、新品だったはずのジャージはドロドロである。 木登りしたり、藪に突っ込んだボールを捜したりするので、当然である。

「優雅なお正月」には到底程遠い夕食のお節を食べてから帰宅し、 お年玉を確認し母に渡す。 集まる家族が裏で話を合わせているので、総額は毎年決まって、2000円。 最年少3歳児も、最年長の中学生も一律同額である。

商店に行っても欲しい品も特に置いてない田舎町なので特別不都合もなく、 全額母に渡して貯金してもらう。

帰宅後テレビを見ていると、またCMが目を引いた。 『お節もいいけど カレーもね!』 正月に開いている店はない。 新年の営業は5日以降が普通である 。 もちろん、コンビニもない時代 。カレーは5日までおあずけ。 それまでは、延々とお節や雑煮を食べ続ける。 不便だけれど、どこかのんびりとして結構いい時代だった。

おおっと! 年の瀬編の最後に「明日の正月に続く」と書いておきながら、 この間、何年ものブランクがあるじゃないか〜

「笑って〜 ゆるして〜 小さな〜 事と〜♪」逃げろ!
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