17年を経て復活したボカンシリーズ。
オープニングで、『タイムボカン』の主題歌と同じカウントダウンに乗せて、歴代タイムボカンシリーズが1カットずつ登場する。タイムメカブトンの絵を突き破って現れる『タイムボカン2000』の文字。 主人公は怪盗、対する三悪は警察官。善悪逆転である。
怪盗にふりまわされる刑事というと、思い出すのは『ファントマ・シリーズ』。 この映画に、ドロンジョのモデルと噂されるミレーヌ・ドモンジョがヒロイン役で出演している。その舞台はフランス。きらめきマンの舞台はオーグオン・シティ−と名前が付いているが、明らかにパリがモデルである。 シリアスでかっこいい怪盗とマヌケでコミカルな刑事という組み合わせもぴったり符合する。
オーグオン・シティを守るジュティーム署の署長の娘、リップのもとにパフと名乗る青年が現れた。彼は500年後の未来から「ゴールドアイ」というお宝を探してこの時代にやってきたのだと言う。祖父・リキッド博士の言うことには、500年後の未来を変えてしまうほどのものらしい。
パフが持ってきたキラメールというロボットにリキッド博士からのゴールドアイ情報が入り、ふたりはきらめきマン1号&きらめきマン2号に変身して、ある時は富豪の屋敷、またある時は博物館と神出鬼没の怪盗ぶりを発揮する。
そのきらめきマンを逮捕するため、三人の警官が立ち上がる。我らが三悪(警官だから三善?)花の刑事トリオである。500年後の謎の人物・ドグリンから資金援助を受けている。
ゴールドアイとは何か、本物はどこにあるのか、ドグリンの正体は、そして刑事トリオがきらめきマンを逮捕する日は来るのか。
正義と真実の人、警察官。泣く子も笑うジュティーム署・捜査一課の中、捜査ス課に勤務する窓際デカ・トリオ。ディカプリオを意識しての命名らしい。署内でお荷物と言われ冷遇される中、きらめきマンを逮捕して一花咲かせようとしている。
「右も左も真っ暗闇の二十世紀も世紀末。西に不正がはびこるならば駆けつけ叩いてぶっつぶし、東に悪がのさばるならばやめなさいよと肩叩く。平成の世にきらりと輝く三つ星、天に代わって悪を討つ。」
【ルージュ】(27歳)
ドロンジョ系女ボス。「花も恥らう乙女」らしい。
【ヒエール】(29歳)
ボヤッキー系頭脳労働担当者。そのダジャレは人々が凍るほどヒエるものである。
【オンドレー】(30歳)
トンズラー系肉体労働担当者。相変わらず他のふたりの添え物にしか見えないが、ヒエールとの対比がおもしろい
「顔が違う」と叩かれた『ヤットデタマン』のミレンジョ一味の上をいく変わり方で、ルージュに今までの女ボスの面影はない。美人ではあるが、妖艶さが希薄なのである。キャラクターデザインが上北双子さん、『ヤットデタマン』でサブキャラのデザインを担当していた。どちらかというと、かわいらしい感じがする。
おでかけキャット…空飛ぶメリー・ポピンズ風猫型メカ。「おでかけキャット、モー ドチェンジ」の掛け声できらめきマンの乗り物・トッタルニャンとなる。そちらはドラ猫風。
ワンダーブル… 元々はジュテーム署のパトカーで、刑事トリオの愛車。未来からパーツを呼び寄せて巨大メカになる。
「前作を踏襲しつつ、新しさを出そう」という意気込みは感じるのだが… 如何せん、パワーダウンは否めない。『ゼンダマン』を「おもちゃ箱をひっくりかえしたような」と評したが、この『きらめきマン』は陳列棚にきちんと並んでいるおもちゃを見るような感じを受ける。
アテレコでもアドリブは一切受け入れられなかったそうだ。かのドロンジョの名言「スカポンタン!」はアドリブから生まれたのは有名な話。「ポチッとな」もそうであったと言う。枠にはまらない面白さがボカンシリーズの良さであったはずである。
過去をひきずるファンを揺さぶるのは、第14話「新メカはフクロ?」 オーグオン・シティの海岸で、海の家を経営するのは、マージョたちタイムボカンの三悪である。「おいしいイチゴフラッペありますのよ〜」の声は、ルージュと同じ声であるにもかかわらず妙に色っぽく、黒のビキニもソソる。ワルサー・グロッキーの 「ヨイヨイサー」「ホイホイサー」の返事に涙がチョチョギレる。
第15話「むしむし大騒動!」という回も捨てがたい。タイムメカブトン、クワガッタン、ドタバッタンが出てくる。虫が好きだという博士が子供の頃に見ていたアニメから作ったという。BGMはもちろん「タイムボカンの歌」のインストゥルメンタル。
そんなふうに随所にボカンシリーズのキャラやメカが使われているのが『きらめきマン』である。高年齢層の視聴率確保のエサとわかっていても、つい食いついてしまう。
すべては、500年後の盗賊・ドックリンゴがヒエールを英雄にするために仕組んだことだった。ドックリンゴはヒエールの子孫。ある日、ドックリンゴが盗賊になってしまったのは、できの悪い先祖のせいだとコンピューターがはじき出す。その先祖が手柄を立て、昇進して偉くなっていけば今とは違う自分があるはず(『ドラえもん』と同じ設定だったり)。
国際科学警察庁長官であるリキッド博士の一番大切なものを圧縮してゴールドアイに隠し、ヒエールの時代に送る。それを取り戻そうとする怪盗をヒエールに捕まえさせよう。そのためにドグリンとなって資金援助を… という経過だった。
ゴールドアイはジュティーム署の遺失物係に預けられていた。攻防の末、きらめきマンに軍配が。未来から確認にやってきたリキッド博士が開くと、そこには博士愛用の枕。博士はそれがないと眠れないらしい。ゴールドアイが未来にないことによって起こる大変なこととは、博士の睡眠不足で未来世界の平和が乱れることだったのだ。
ボカンシリーズは、毎回のオチにだまされたような気分になるものだが、今回の脱力度は『イタダキマン』に次ぐ。
刑事トリオはクビ、タイムマシンが壊れて未来に帰れないドックリンゴと一緒に盗賊に転身する。それを追うのはリップとパフのきらめき刑事。新たなる物語の始まりである。
この『きらめきマン』のビデオには、スペシャル映像特典として「オリジナル・ミュージック・クリップ/TIME BOKAM MEGA MIX」などが入っている。歴代ボカンシリーズの名場面てんこ盛りで、かつて女子高校生だったファンにも楽しめる内容なので、とってもオススメ。レンタルで見かけたらぜひどうぞ。(バンダイの回し者ではない)
2001年に発行された『タツノコ・ヒーローズ』という本の中に、笹川ひろしさんへのインタビューがある。 タツノコ作品について熱く語る笹川さんの結びの言葉は、「まだまだ、『タイムボカン』は生きています」。
♪時間が手を振って おかえりなさい
タイムボカンシリーズ第9作もあるのかもしれない。その時はまた、この続きのコラムを書きたいと思っています。
今まで読んでくださって、ありがとうございました。








