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タツノコ『三悪志』
第6回  イタダキマン♪どびびぃ〜んセレナーデ

シリーズ第6作目にして、異例続きのイタダキマン。

オープニングの『いただきマンボ』を歌うのは、田中真弓さん。
作詞は康珍化さん(『桃色吐息』の人ね)、作曲は古川喜昭さん(誰?)。 エンディングの『どびびぃ〜んセレナーデ』も作詞・作曲は山本正之さんだが、歌っているのはきたむらけんさん。理由はよくわからない。 (大人の事情でしょう) ただ、タイムボカンシリーズのDVDが発売になった際、山本さんの作った『イタダキ マンの歌』が購入特典として付けられている。やはり、ボカンシリーズは山本さんでなきゃなのだ。

♪サハラ砂漠のラクダなど 水も飲まずに旅をする

涙なしには聴けない歌詞である。 何度躓こうと、虹を超えてヤンバルクイナを飛ばせてみせよう… 三悪の不屈の精神であり、また山本さんの心の叫びであったような気がする。ネガ ティブな気分な時に聴いてみて欲しい。必ずやあなたをポジティブな気分に引き上げてくれるだろう。

そして、放映時間の変更。 今までの5作はすべて土曜日の午後6時30分からだったが、『イタダキマン』は一時間ずれて午後7時30分からになった。視聴者層を拡大しようとしたという話もあるが、 完全に裏目に出てしまった。慣れというのは恐ろしいもので、ボカンシリーズを支え続けたファンは6:30体質になっていたのである。 視聴率は急降下した。

『タイムボカン』26.3%、 『ヤッターマン』26.5%、 『ゼンダマン』25. 2%、 『オタスケマン』25.6%、 『ヤットデタマン』20.9%、 『イッパツマン』20.8%ときて、『イタダキマン』9.7パーセント。 (ビデオリサーチ調べ・最高視聴率)

西遊記をベースにした物語なので、企画の段階ではお釈迦様から名前を取って『オ シャカマン』というタイトルも考えられていた。しかし、オシャカになってしまっては困るということで視聴率はいただきだ、と『イタダキマン』になったのだが…

メインライターが小山高男さんから酒井あきよしさんに変更になり、キャラクターデザインの天野喜孝さんの参加がイメージボードだけとなるなど、企画段階から波乱含みの作品であった。


ストーリー

タイムボカンシリーズ原点に返って、時空を超えたモノ探し。 昔、オシャカ様は人類を救うための宝を持って地球に来た。しかし、地上の妖怪に宝を奪われることを恐れてそれをパズルとし、世界中にばらま いた。それが「オシャカ・パズル」である。

オシャカ学園のオチャカ校長にオシャカ様の霊が宿り、パズルを集めるようにと使命を下す。集めるのは三蔵法師一行の子孫、優等生の三蔵法子・サーゴ浄・猪尾ハツ男。「たてまえトリオ」を名乗る。 それを邪魔するのは、おなじみ三悪。 オシャカ学園は名門ゆえ難関。8年も浪人して、なお入学できずにいる。


2足3文トリオ

【ヤンヤン】(25歳)
母の形見の竜の小笛を持ち、三蔵法師の子孫を名乗る。

【ダサイネン】(26歳)
沙悟浄の頭のお皿を持ち、子孫を名乗る。

【トンメンタン】(30歳)
猪八戒のブタの尻尾を持ち、子孫を名乗る。

【竜子】(?歳)
オシャカ学園のそばにある“オタマガ池”に住む竜神の子。 ヤンヤンの吹く竜の小笛に操られる。 『ハクション大魔王』とクシャミみたいな関係か? デンデンメカという乗り物に変身し、三悪を運ぶ。妖怪にアンテナを取り付けて戦いをサポートもする。

【孫田空作】(10歳)
母を訪ねて三千里…行ったか行かないか知らないが、旅の途中で三悪と出会い行動を共にする少年。孫悟空の子孫であり、オシャカ校長に頼まれて三悪を監視している。 実はイタダキマンである。


メカ

やはり原点復帰か、イタダキマンが乗るキント雲メカはカブトムシ型。カブトゼミといい、特殊変型してセミになる。この変型過程はかなり見せるシーンであり、メカ好きにはたまらないであろう。ペンギン型のペリギンは、変型してペリカンになり、イヌ型のワンガルーは、カンガ ルー型になる。 ナンバーが付いていて、すべて「45」(ごくう→ごっく→5×9=45)

また、イタダキマン自身が二段変身を行う。バトルプロテクターを身体に装着して巨大化するのである。 「ビッグ・シャーキン…」と思わず口をついてしまう。 タツノコ・アニメで言えば、『テッカマン』を思い出す。南城二がペガスの内部で身体に鎧を着けてテッカマンという強靭なヒーローに変身していた。

三悪の乗るのはデンデンメカと名前が付いているが、竜子の変身したものであるので生き物である。おっぱいがボタンと見間違うような形で付いているので、紛らわしかったりする。

異例はメカにも言える。今までは三悪のひとり、『タイムボカン』のグロッキー系キャラが悪玉のメカ作りを担当していたが、『イタダキマン』は妖怪と戦う。彼のお役御免に一抹の寂しさを感じた視聴者もいたであろう。「自分たちで戦ってください」とのお便りが届いたそうな。


最終回

2クール26回を待たずに終了が決まってしまった『イタダキマン』。 集めたオシャカパズルは20に満たない。 第1回でやっと手に入れたパズルを地球儀の中の台座にはめる時には、優に50個以上のスペースがあると見えたのだが…。

オチャカ校長は、「パズルは26個か52個 かわからない」と言っていた。この時を見越していたのだろうか?さすがはオシャカ様の子孫である。 ところが、台座にしまっておいたパズルがいつの間にか膨張していた、というのだ。 (強引だよ、いくらなんでも)

そして、今回手に入れたパズルが最後の1片という都合の良すぎる展開。 窓の外で完成したパズルを横取りしようと虎視眈々の三悪。 今、パズルは完成し、光り輝く。その光は、周りにいるオシャカ校長をはじめ、法子達、たてまえトリオ、ヤンヤン達2足3文トリオを宙に浮かばせる。

「皆、手を繋ぐの じゃ!」 善も悪もひとつの輪になったところで光は収束した。台座を仕舞ってあった地球儀が倒れる。 地球をひっくりかえすほどの宝とは、「友達の和」であったのだ。 感動のラスト…になどならない!

「この世の中、友達の和だけで回るもんじゃねえんだ。善玉と悪玉が手を握り合っちゃ話が進まねえんだ。」 ダサイネンの捨てゼリフが偉い。全くその通りだ。 偉大なるマンネリが7作続いたタイムボカンシリーズの、やりきれない最後であった。

だが、これで終わりと思うなかれ。三悪はいつかまた一花咲かせてやろうと、人々の心の奥深く潜んでいたのである。 それには、17年の歳月を待たなければならなかった…



第8回『怪盗きらめきマン♪フララン ランデブー』>>に続く。

コラムニスト ヤマネコ 

趣味:お茶、お花、おと… \(`o'゛;)


DVD商品情報>>
▼放映
1983年4月9日〜1983年9月24日
フジテレビ系、毎週土曜夜7時30分〜8時00分、全20回

製作/吉田健二
企画/岡正(フジテレビ)
原作/タツノコプロ企画室 九里一平
総監督/笹川ひろし
担当ディレクター/植田秀仁
プロデューサー/井上明(竜の子プロ)、大野実(読売広告社)
キャラクターデザイン/天野嘉孝
メカニックデザイン/大河原邦男

▼視聴率の低下

▽放映時間帯の変更
実際の事情はわからないが、80年代に小中学生の塾通いが急激に増加した。 文部省と文化庁による調査では、中学生は70年代は3割台だったものが、80年代に入って4割台になった。 土曜の午後6時30分は、夕飯までの暇つぶしの時間ではなくなったのかもしれない。

また、当時は民間企業に週休二日制が浸透し始めた時期。放映期間はプロ野球のシーズン。土曜夜7時30分〜8時00分は、お父さん(子供も)が観るナイターとぶつかったのではないだろうか?

▽土曜18:30〜19:00
前作『イッパツマン』の枠には、日曜18:00〜18:30に放映されていた『未来警察ウラシマン』が引っ越して来た。

▽子供の遊びの変化
1983年7月、任天堂の家庭用ビデオゲーム機「ファミリーコンピュータ」の登場で、オモチャ業界に大きな構造転換が訪れた。そればかりか、TVの画面がゲーム機に占領される時代を迎え、TV番組とゲームが視聴率を争うことになった。 時を同じくして、巨大ロボットアニメの人気も急激に下降線をたどった。

▼イタダキマン


△孫田空作 (10歳)/田中真弓
孫悟空の子孫。イタダキマン(通称クーちゃん)。オチャカ校長に頼まれて本物の三蔵一行を見守っている。


△三蔵法子 (17歳)/及川ひとみ
三蔵法師の子孫。たてまえトリオのリーダー。怒らせると狂暴な性格になる。

▼悪玉トリオ



▽ヤンヤン/小原乃梨子
▽ダサイネン/八奈見乗児
▽トンメンタン/たてかべ和也

▼タイムボカンシリーズとオモチャ業界

▽1976年/タイムボカン
この頃から、テレビとキャラクター玩具は密接に結びつき、企画段階から関わるという関係が通例化した。
・タカトク:タイムボカン、アクマイザースリー。
・中嶋製作所:テッカマン。
・ポピー:ロボコン、ゴレンジャー。
・タカラ:鋼鉄ジーグ。

▽1980年/オタスケマン
1979年から電子玩具がブームとなり、オモチャも先端技術へ傾いて行く。
・ タカトク:オタスケサンデー号/アシカ/カエル/サイ/ウータン(1650円)

▽1982年/逆転イッパツマン
「LSIゲーム」がブームに。売れ筋は『ゲーム&ウオッチ』『パクパクマン』『LCDゲームデジタル』。一方、キャラクター商品は低迷。

▽1983年/イタダキマン
7月、任天堂が家庭用ビデオゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売。
8月、クローバー倒産。(ガンダム他のアニメ製品を販売していた)
・ タカトク: イタダキマンZカブトゼミ、イタダキマンZペンギン、イタダキマンZワンガルー。(各1980円)

▽1984年
タカトク倒産。

DVD タイムボカン王道復古>>
cover

△歴代三悪総登場!

INDEX
【動物まんがまつり】
本編
フランダースの犬

【まんが悪役列伝】
ハンス・エンゲル
ベルク・カッツェ
プリンス・シャーキン
大将軍ガルーダ
プリンス・ハイネル
その後の美形悪役たち

【タツノコ『三悪志』】
プロローグ
タイムボカン
ヤッターマン
ゼンダマン
オタスケマン
ヤットデタマン
逆転イッパツマン
イタダキマン
怪盗きらめきマン

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