1979年1月27日、『ヤッターマン』は2年の放映に終止符を打った。
人気は上々だったが、おもちゃ会社がスポンサーであり、新しい番組・新しいメカが望まれたためだ。 そして翌週、2月3日から始まったのが、シリーズ第3作『ゼンダマン』
世界的な科学者・紋者博士は、“命のもと”を探していた。どういう形かは分からないが、黄金に輝くそれは不老長寿の秘薬だと言う。おなじみ三悪は、“命のもと”を横取りして大もうけをしようと企む。
それを阻止するのは、博士の助手・鉄ちゃん(ゼンダマン1号)と、博士の孫娘・さくらちゃん (ゼンダマン2号)。 決めゼリフは「この世に悪のはびこる限り、ゼンダマンは現われる。善意のかたまりゼンダ マン、只今参上!」
“命のもと”がどの時代のどこにあるのか分からないため、タイムトンネルを使ってあらゆる 場所に出かけてゆく。 そう、『タイムボカン』のダイナモンド探しと同じ。 『ヤッターマン』で一旦やめたタイムトラベルの復活である。
『タイムボカン』は史実の世界が多かったが、『ゼンダマン』では童話の世界も多く登場する。「浦島太郎」「こぶとりじいさん」「かぐや姫」「不思議の国のアリス」「人魚姫」などなど。 ギャグにも磨きがかかり、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさのある作品である。
「天が呼んだか地が招いたか、悪のかたまりアクダマン!」
リーダーの【ムージョ】24歳
マージョやドロンジョに比べると、頭のデザインがシンプル。 ヘルメットやマスクではなく、ヘアバンド一本。 世界一の美女を自称するだけあって、よけいなもので飾らなくてもよいということなのか。 「うっふ〜ん、悩ましポーズよ〜ん」と毎週メカの上から披露してくれる色っぽい姿も見所だった。ただ、そろそろお肌の曲がり角。ライバルのさくらちゃんはピチピチの12歳。 若さにジェラシーをメラメラしちゃうこともある。
メカ作りの天才【トボッケー】25歳
ひとつ気になっていることがある。 アメリカンなコスチュームはなかなか似合っているが、今回、おへそが出ていない。 『ヤッターマン』の時はトンズラーと一緒に、丸いチャーミングなデベソを見せてくれていたのに。ドンジューローとムージョはへそ出しで、なんだか仲間はずれなのだ。
元歌舞伎役者の【ドンジューロー】30歳
変わった経歴である。
第32回「弁慶サンだよ!ゼンダマン」で、三悪結成の秘密が明かされる。 ドンジューローとトボッケーのふたりは、世界一の悪党を目指してムージョがスカウトしたらしい。ムージョは男心の扱いがうまい、いい女なのである。 この回では、歌舞伎の練習に励んだり、ムージョへの愛全開で張り切るドンジューローが見られる。
プラスアルファの猫【ニャラボルタ】3000歳
第1回「無敵はステキ!ゼンダマン」で、資金不足に泣く三悪の前に忽然と現われた猫。 「猫に小判」と言いながら、三悪に千両箱を差し出す。 その謎は、最終回で明かされる。 得意技は引っ掻き。
♪たてがき〜よこがき〜ななめがき〜 トボッケーに「いつか三味線にしてやる」と言われている。
カラオケを歌うメカというのは、めずらしい。この作品に登場する善玉メカのゼンダライオンは、声を山本正之さんが担当している。 『タイムボカン』からこのシリーズの主題歌を歌っている人だ。
タイムトンネルを走りながら、気持ち良さそうな歌声が流れる。
♪ちからじまんで のどじまん〜 ぽぽ〜 これは後に視聴者参加コーナーになって、子供たちが歌うようになる。
このライオン、マゾである。ゼンダマンに愛のムチで叩かれると「春のめざめ〜」と元気になる。 「野生のめざめ〜」と奮い立つゼンダゴリラというのもいる。善玉メカのモチーフは動物で、他にはゼンダモグラ・ゼンダビーバー・ゼンダシロクマなど。
悪玉メカは、シャレコウベメカ。『タイムボカン』同様、これを核にして毎回のメカをカスタム化する。コクピット内には、戦いで荒みがちな気持ちを和ませるため(?)さまざまなコクピットメカが 用意されている。
【おだてブタ】 前作でもおなじみの人気者。 踏み切り信号によく登っていた。
【コーラスカラス】 4羽のカラス。 ♪ヤル〜ヤル〜ヤル〜ヤラレルゾ キットナ
【ワンモアカラス】 「ワンスモア!」の一声で、コーラスカラスをもう一度呼び出す。
【オシイ星人】かの押井守さんがモデルのクラゲ型宇宙人。♪オ〜シイ オ〜シイ オ〜シイナ〜 モウチョット
【ゴングマン】メカ戦の戦闘開始を告げる。
【ドッチデモイイゾー】メカ戦のレフリー。
【トミー・ヤマケイ】メカではないが、メカ戦の解説キャラ。 富山敬さんがモデル。「解説しよう!」
もう一つ、忘れてならない悪玉メカは裁判マシーン。お仕置きは健在。 自分たちで作ったものであり、このパターンは後の『きらめきマン』に継承される。
この作品から、オープニング・クレジットの「製作」のところには、吉田竜夫さんではなく吉田健二さんの名前が入る。 吉田健二さんは吉田竜夫さんの弟で、タツノコプロ二代目社長となった。 現在、タツノコプロ会長。
吉田竜夫さんが亡くなった時、『みなしごハッチ』などの総監督を務めた原征太郎さんは、 笹川ひろしさんに「死んだ人間は帰ってこないんだから、引きずるなよ」と言われて、「僕はずっと引きずっていきたい。 それだけ影響を受けている。そんな、ぽろっぽろっと忘れるような生き方はしたくない」と大泣きしたそうである。
吉田竜夫さんは、社員に慕われるすばらしい社長であり、多くの子供たち(私も含めて)に 夢を与えてくれる偉大なるクリエイターだった。スポンサーの中には、「これからタツノコプロは、ものを作っていけるのか」と心配する向きもあり、辛い時期であったはずだが、吉田健二さんはもう一人の弟・九里一平(本名・吉田 豊治)さんと手を携えて、新たなるタツノコプロを構築していく。
“命のもと”は、会津磐梯山で見つかった。 大腹庄助所有の沼が、金色に輝く。アクダマンは、それをすべて吸い取り現代へと逃げる。ムージョ屋敷に戻り、乾杯しようとするアクダマン。しかし、タンクは空だった。
途中、ニャラボルタがタンクに穴を開けて捨てていたのだ。 ゼンダマンが追いつき、紋者博士が別ルートからムージョ屋敷を見つけ、オールキャストで の謎解きが始まる。
ニャラボルタは、今まで“命のもと”を独り占めすることで3000年生き続けてきた。 その“命のもと”がなくなったので、アクダマンを操って探させていたのだ。逃げるニャラボルタから、隠し持っていた“命のもと”を奪い取って一気に飲み干すアクダマン。若返っていく三人…しかし、若返りすぎて赤ん坊に…
そして裁判マシーンの爆発。 爆風に飛ばされた三人は、丸太に乗って川を流されていく。 成長してまた、悪玉トリオを結成するのだろうか…?
さて、あなたは目の前に“命のもと”があったら、飲みますか?
第4回『オタスケマン♪アーウーオジャママン』>>に続く。







