昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update:Dec.2007
ワンダフル・ワールド
どの街を歩けば君に会えるだろう♪
旧筑紫野町・二日市中央通りで暮らした日々の想い出
▼ワンダフル・ワールド
唄・ウルフルズ
大掃除の匂い

せんたくしているにおいでしょ しゃぼんだまのにおいでしょ♪

食事の匂いまでファブリーズで消してしまう神経質な今とちがって、昔は生活に匂いが溢れていた。悪臭も漂っていたのだが、記憶の抽斗には匂いも大事ににしまってある。

年末といえば、お正月の買い物で賑わう市場や、庭先で落ち葉を焼く匂いと同時に思い出すのが大掃除の匂いだ。

子供の頃、大掃除といえば『マイペット』 だった。缶入りの原液をバケツの水に溶いて、家具から畳まで家の中のものは何でも雑巾で拭く。当時の住宅用洗剤はこれしかなく、『ガラスマイペット』、『マジックリン』が登場したのは70年代だ。

『マイペット』は薬品とも香料ともつかない独特の匂いがした。ジョンソン『クルー』は苦手だが、『マイペット』は好きだった。

年末の大掃除では畳を上げて、下に敷いてある新聞紙を取り替え、縁と縁の隙間には細長く折った新聞紙を詰める。お手伝いの駄賃は隙間で見つかる小銭だった。

仕上げには今では嗅ぐことのない匂いがあった。DDTだ。終戦直後の報道写真で、進駐軍が子供の頭にふりかけている白い粉がそれだ。酸性のツンとする匂い。

家にあったのは浅田飴のような丸い缶で、横に小さな穴がいくつも開いていた。缶をハンバーガーを掴むように持って、ペコペコ押すと粉が吹き出すのだ。畳の裏に撒くのが私の役目だった。

トイレ掃除の『サンポール』も、障子を貼った洗濯糊の匂いも、こうして年に一度、思い出の抽斗から立ちのぼるだけになってしまった。
▼60年代のマイペット

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