昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update:Nov.2006
スタンド・バイ・ミー
私は12歳の時の友人に勝る友人を、その後持ったことがない。
---ゴーディ・ラチャンス
▼スタンド・バイ・ミー
THE BODY:スティーブン・キング著
こたつ 〜パジャマの友〜

俳句に季語があるように、想い出には季節の匂いがある。

子供時代の冬は、セーターやオーバーのナフタリンや、住宅工事現場のドラム缶で焚かれる木っ端の煙、父親の白金カイロのベンジンの匂い、出したばかりの電気こたつの匂いで始まった。

とりわけ懐かしいのは電気こたつだ。こたつ布団や敷物の匂いではなく、電気の匂い。電気自体に匂いは無いが、電化製品が温まると、ハンダ付けのヤニが温まるのか、内部にたまった埃が焼けるのか、特有の匂いがした。

真空管時代のテレビの裏やトースターも同じ匂いがしたが、こたつの中の密室で嗅ぐ匂いは独特だった。いい匂いではないが、機械に暖かい血が通っているような気にさせた。

こたつの季節になると、寝間着も衣替えして冬物になる。綿ネルのパジャマをこたつで暖めてから着替えたものだ。

当時のウチの電気こたつは昭和30年代のもので、40年代に爆発的にヒットした「赤外線こたつ」ではなかったので、中に潜っても暗かった。赤い金網の中にシーズ線と呼ばれるものが露出していたので、よけいに匂いが強かったのかも知れない。

中学生になると、自分の部屋を持ったので、こたつに入る機会は少なくなり、パジャマを暖める習慣も無くなった。暖かいパジャマは電気の匂いと一緒に記憶のアルバムに並んでいる。
▼ナショナル赤外線健康こたつ/昭和45年


出典:知多市歴史民俗博物館


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