昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: Mar.2006
スタンド・バイ・ミー
私は12歳の時の友人に勝る友人を、その後持ったことがない。
---ゴーディ・ラチャンス
▼スタンド・バイ・ミー
THE BODY:スティーブン・キング著
ハチドリ 〜幻の友〜

そいつを最初に見たのは5年生の秋だった。春に鉄筋コンクリートの新校舎が建って、側に新しい花壇が出来た。夏休み明けに咲いたホウセンカの花の蜜を吸っていたのだ。

見つけた瞬間に、あっ!ハチドリだ!と思った。TVの『野性の王国』で知って間もなかった。羽が透けて見えるほど素早く羽ばたく姿はTVで見たのと同じだった。

手にとってみたい衝動に駆られて帽子で追いかけたが、優雅に浮かんでいるように見えて結構素早いのだった。以来、昼休みのたびに花壇へ出かけたが捕まえる事は出来なかった。

募る想いはチルチルミチルの『青い鳥』のように膨らんだが、やがてホウセンカは実を結び、教科書で習った通りにはじけ飛ぶと、ハチドリも見かけなくなった。

一年後。幸せの小鳥は再び同じ花壇にやって来たが結果は同じだった。そして中学生になったある日。ふと思い出して図書室の図鑑で調べてみた。あいつは鳥じゃなく、虫じゃないかと思ったからだ。

案の定、「ホウジャクという蛾の一種で、花の蜜を吸う」とあり、姿も記憶にそっくりだった。「だからと言って蛾と決まったわけではないし、いつか捕まえればわかる事だ」と納得したまま、時は過ぎた。

そして数日前。ネットで「ハチドリ」を検索したら「ハチドリと間違えられやすい生き物」として、あいつの姿が出ているではないか。しかも「ハチドリは日本には生息せず見かける事は万に一つもない」と書いてある。

無邪気に夢を追いかけた日々があって幸せだったじゃないか。『青い鳥』の教訓が身につくだけの時間が経っていた。
▼ホシホウジャク
ホウジャク
学名:Macroglossum stellatarum
分類:鱗翅目スズメガ科ホウジャク亜科
体長:40-50mm
分布:日本全土

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