昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: May.2006
スクリーンにチェリオ!
1970年代の映画鑑賞記。
当時の映画館でよく飲んだのはチェリオ(乾杯の意)だった。
記事は公開時の記憶を元に書いたものです。

使用した画像はアマゾンアソシエイトプログラムの掲載許諾を受けています。 配布や再掲載は禁止されています。
ペーパームーン|1974年8月鑑賞

パニック物の大作やアクション映画全盛時代にモノクロで撮った、ロードムービーの傑作。 同時上映は『イルカの日』。

【ストーリー】
1930年代のアメリカ。聖書の詐欺販売で暮らしているモーゼは、交通事故で亡くなった馴染みの酒場女の葬儀に立ち会う。孤児になった9歳の女の子、アディを叔母の家まで送り届けるはめになり、事故の関係者から示談金をせしめると、アディをやっかい払いしようとするが・・

モーゼのフルネームは”Moses Pray”。聖書販売の詐欺師が“預言者モーゼの祈り”とは・・ドワッハッハ・・TVドラマなら笑い屋の声が聞こえて来そうだが、『ペーパームーン』は脳天気なだけのアメリカン・コメディではない。

エピソードを紹介しよう。

【聖書の押し売り】
新聞の死亡欄を調べ、聖書に細工をして、書いてある住所を訪ねる。
「ご主人がこれを注文されまして」
「生憎、主人は亡くなりました」
差し出した聖書には「愛する**へ」と型押ししてある。涙ぐむ夫人。
「こういう場合ですから、お代はいただきません」
「いえ、払わせて頂戴。おいくらなの?」
「通常は*ドルですが、デラックス版をご希望されましたので・・」
「**ドル」脇からアディがふっかける。目をまるくするモーゼ。

【釣り銭詐欺】
モーゼがドラッグストアで20ドル紙幣で買い物をする。入れ替わりに訪れたアディが1ドル紙幣で飴玉とハミガキ粉等の安い買い物をする。店員が釣り銭を渡すと・・
「私が出したのは20ドル札よ」
「いえ、1ドルだったわ」
「20ドルだったもん・・」泣きわめくアディ。
「いったい、どうしたんだね」店長が尋ねる。
「この子が嘘を」と店員。
「あれは、**おばさんが誕生日にくれたのよ。アディへって書いてあるわ」
レジスターの中を確かめる店長。20ドル紙幣にはメッセージが・・
「お客様、失礼しました」慌てて紙幣を返す店長。
アディの手元には買った物と1ドルからの釣り銭と20ドル紙幣。

目端の利くアディは優秀な相棒、いや、才能はモーゼ以上かも知れない。モーゼを父親と信じる彼女は、道中に出会った女に傾いたモーゼの心を取り戻す為に一計を案じ、成功するが、旅の終わりには別れの時が・・

タイトルの『ペーパームーン』は劇中に流れるオールディーズソング“It's Only A Paper Moon”にちなんだもので、巡回遊園地の写真館のスタジオセット。

紙のお月様でも信じれば本物♪ 二人が本当の親子かどうかはわからない。「あなた、私のパパじゃない? あごのあたりが似ているわ」と聞かれて、モーゼは「カエルに似てるからと言って、お袋がカエルとは限らない」と答える。

今ならDNA鑑定ではっきりするのだろうが、二人はそれ以上の絆で結ばれていた。スクリーンの上のお芝居でも、あなたの笑顔や涙は本物でしょと語りかけてくる。

巧みでユーモラスな詐欺の手口にアングリ。こまっちゃくれたテイタム・オニールの演技にニンマリ。心温まるラストにホロリ。三つ星の映画だ。


《余談》
原作はジョー・デイヴィッド・ブラウンの『アディ・プレイ』。早川書房から出版された翻訳本のタイトルは『ペーパームーン』。 作品の雰囲気は映画そのままで、ラストでは映画には無い大博打が打たれる。 TVシリーズ化され、アディの役を演じたのは子役時代のジョディ・フォスター。

ペーパームーン
DVD商品情報>>

▼Paper Moon/1973
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:ライアン・オニール、 テイタム・オニール、マデリン・カーン

▼ライアン&テイタム・オニール親子



モーゼがアディに「コニーアイランド」を食べたことがあるか?と聞く場面がある。コニーアイランドはホットドッグ発祥の地で、元祖のFeltman氏の使用人のNathan氏が1916年に始めたホットドッグスタンドが今のNathan'sになった。


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