手拭い
あなたはもう忘れたかしら 赤い手拭いマフラーにして♪
『神田川』の手拭いはサラシではなくタオル地だと思うが、明治時代の始めに日本に登場したタオルは高価で、当初はマフラーとして使用されていたそうだ。
手拭いは元来、儀礼装身具だったのが、江戸時代に木綿製が普及して庶民のものとなった。晒した木綿は吸水性がよく肌触りも良いので万能の布として重宝された。
私の子供時代、『意地悪ばあさん』の着物の襟、井戸水のフィルター、包帯、下駄の鼻緒の修理等は手拭いの二次利用で、昭和40年代中頃までは酒屋や米屋の粗品としてお馴染みだった。
当時、母方の実家の風呂で使うのは手拭いで、風呂上がりのタオルは無かった。浴室で体をよく拭いておかないと、濡れた体に服を着ることになる。その経験から、バスタオルを使う前に浴用タオルで体をしっかり拭く習慣がついた。
濡れても洗っても乾きやすい反面、吸湿性という点でタオルに劣る手拭いは、脱水機付きの電気洗濯機の登場と共に浴室から姿を消したが、最近はお洒落なモノとして見直されているようだ。