こたつの天板
その昔、「電気こたつ」の天板はリバーシブルで、裏に緑色の羅紗が張ってあった。「麻雀卓として使えるように」という配慮だ。
子供時代に雀卓として使うことは無かったが、ゲームをするときは裏返して使っていた。1970年代の後半に家庭用ビデオゲームが登場するまで、ゲームといえばボードゲームや野球盤、トランプだった。
羅紗の上ではカードが滑らず、サイコロも転げ落ちないので重宝した。なにより裏返すという行為が「さっきまで表の面で漢字ドリルをやっていた日常」を忘れさせてくれるのだった。
『子供らの 夢でふくらむ 新年号』
こたつの季節のメインイベントはクリスマスとお正月。本屋の店頭に平積みされる子供雑誌は、新年特別付録で着ぶくれした体に紙ヒモが十字にかけられていた。
盛りだくさんの付録には双六がつきもので、親の麻雀セットから拝借したサイコロは、大人の遊びと同じ音をたてて転がった。
季節が巡り、再び押入れからひっぱり出された天板には、去年の蜜柑のすじとクリスマスケーキの染みが残っていたものだ。その柱の傷にも似た年輪は今はもうない。