缶切り
現在、我が家で使っている缶切りは回転刃式のものだが、子供の頃はレバー式の『三徳缶切り』と呼ばれるものだった。
折り畳み式のコルク栓抜きが付いていたが、葡萄酒(昔はワインをこう呼んだ)を開ける機会は少なく、一部を残して開けた缶のフタを持ち上げるのに使う事が多かった。
なぜ「フタを全部切り取ってしまわなかったか」と言えば、レバー式の場合、最後の部分を切ろうとするとフタが捻れて切り難いからだ。中身が残った場合にフタとして使えるので、食品用ラップが普及する以前の習慣だったかも知れない。
子供時代は今より缶切りを使う機会が多かったように思う。現在の小型缶の多くがプルトップになったせいもあるが、かつてのデザートの花形「みかんの缶詰」を開けることが多かったからだろう。
「みかんの缶詰」の美味しさは、酸味と甘味のバランスにあるが、その糖分は戦後〜昭和44年までは「チクロ」、48年のオイルショックで砂糖が高騰するまでは「全糖」、以後「異性化糖」に切り替えられていった。
昭和50年代に実家を離れてから回転刃式の缶切りを使うようになり、同時に「みかんの缶詰」をおやつに食べることもしなくなった。
三徳缶切りの思い出はチクロの味と共にある。