インキ消し
みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ
ふみかきすらの はっぱふみふみ ©大橋巨泉
パイロット万年筆『エリートS』のTVCMが流れたのは1969年。万年筆は21世紀の現在も筆記具の王様であることには変わりないのだが、当時は実用品だった。70年代中頃までは入学祝いの定番で、万年筆を持つことは大人の身だしなみだった。
私も中学の入学祝いにセーラーの14金ペンをもらったのだが、18金ペンに憧れたものだ。小学生時代の鉛筆との大きな違いは、消しゴムが使えないことだった。「砂消しゴム」では上書きすると滲むし、タイプライター用の修正液を改良した『ミスノン』(昭和45年発売)はまだポピュラーではなかった。
そこで登場するのが「インキ消し」。A液B液の二本セットで、順番に塗ると泡をたてながら見事に消してくれた。塩素系の漂白剤らしく、使うたびに夏のプールの匂いがした。メーカーは『ガンヂー』と『クロンボ』(現ロイド)があり、どちらも現存する。
使ったあとは「吸い取り紙」を使い、紙が乾くのを待つ。待ちきれずに書くと、インクが滲んでしまい、再びお世話になったものだ。
滲むといえば、授業中に万年筆を持ったまま居眠りすると、教科書やノートの上にペーパークロマトグラフィーが出来ているのだった。
同世代なら「わかるね?」©大橋巨泉