殺虫剤噴霧器
シュコロ イチコロ ぶっ殺す キンチョ〜ル♪
マリアッチのリズムに乗ったスプレー式殺虫剤のTVCMが流れ始めたのは昭和40年代の中頃。 それまでの殺虫剤の主流は液体で、手動の噴霧器を使っていた。八百屋や魚屋の天井からハエトリ紙がぶら下がっていた時代だ。
殺虫剤はビール瓶に似た茶色のガラス瓶入りで、王冠で封がしてあった。これを噴霧器に移すのだが、液体はいかにも毒という匂いを発していて、垂れた液が手につくと慌てて石鹸で洗ったものだ。
夏の宵。蚊帳を吊り、蚊取り線香を炊く前に、これを噴霧するのが我が家の習わしだったが、昭和41年に集合住宅に引っ越して、サッシに網戸、水洗トイレの生活になった。
噴霧器は電気式蚊取りマットにバトンタッチした蚊取り線香とともに消えていった。水枕がアイスノンに代わったのもこの頃だ。
缶入りのエアゾールは便利だが、相手が害虫とはいえ「毒薬を吹きかけて殺生している」という感覚は薄い。再び使いたいとは思わないけれど、得難い経験ではあった。