愛情モノ語り
お守りのように 大切にしていたの♪
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▼ 愛情物語 作詞・康珍化/ 作曲・林哲司/唄・原田知世 |
赤チン
子供の頃、転んで膝小僧を擦りむくと必ず塗ったのが『赤チン』。塗ったあと、傷口を息でフーフーと乾かすと、痛みも一緒に飛んでいったものだ。学校で怪我をすると、保健室で『ヨーチン』を塗られることもあって、そっちは傷口に滲みてとても痛いのだった。どちらも、広口のガラス瓶の中の丸めた脱脂綿に染みこませてあり、ピンセットでつまみ上げてチョンチョンと塗るのだ。 『赤チン』の正式名称はマーキュロクロム(水溶)液。その名の示す通り、水銀化合物を含むが、劇薬ではない。公害問題がクローズアップされた1970年代の始め、製造工程での有機水銀の処理方法が問題となった。 折からの採算性の低さと有機水銀のイメージの悪さで生産を中止するメーカーが相次ぎ、 山之内製薬の『マキロン』の登場も衰退を後押しした。生産が禁止されたわけではなく、現在も細々と生産されており、応急絆創膏に塗布した製品もある。 『赤チン』の語源は《赤いヨーチン》だが、『ヨードチンキ』の略称の『ヨーチン』とは別の物質だ。しかも、チンキとは薬品をアルコールに溶かした液体のことで、水溶液の『赤チン』は正しくはチンキではない。 膝小僧に『赤チン』を塗った子供を見かけなくなって久しい。転んで怪我をする子供自体が減っているそうで、デコボコ道が消えた事と、外で駆け回って遊ぶ事が少なくなっているせいだという。 最近の子の半ズボンは膝丈で、昔のように冬でも半ズボンの子が減ったのも一因だろう。 『マキロン』のマキはマーキュロクロムにちなんだらしい。『赤チン』は死して名を残したが、子供の勲章は消えていくのかも知れない。 |
▼マーキュロクロム液![]() 別名:メルブロミン液 マーキュロクロム液・商品情報>> ▼マキロン 1971年発売。 ▼応急絆創膏 NIKKO マーキュロバン ▼1960年代の懐かしいモノ・目次 水筒 リュックサック えんぴつ 接着剤 テレビ 赤チン 缶切り 牛乳びんの栓抜き ソフトクリームのスタンド 捻締錠 こたつの天板 トランプ類税証紙 林檎箱 枡 殺虫剤噴霧器 手拭い 物干し竿カバー 子供用食器 インキ消し ジンギスカン鍋 井戸の手押しポンプ ♀の十円玉 注射器 フランス人形 金魚鉢 米びつ 有料体重計 六一〇ハップ 腕時計のカレンダー クリスマスブーツ 二斤のカステラ 横断歩道と信号機 食パンケース タイムスイッチ アイスボックス 車の注連飾り 卓上星占い 昭和の生活コラム総合目次>> 昭和のエッセイ集トップページ>> |