めばえ
もしもあの日あなたに逢わなければ♪2歳から3歳を過ごした離島、長崎県対馬での人生最初の出逢い。 |
▼めばえ/1963年7月号 小学館の学習雑誌対象年齢1〜4歳 |
テレビと宿直室
初めてテレビを見たのは3歳の時だった。「観た」のではなく「見た」と書かなくてはいけないのは、こういう訳だ。当時住んでいた官舎は税務署の敷地に隣接していて、父親が宿直の時は夕飯のあとに歩いて遊びにいったものだ。宿直室の碁盤に碁石を並べたり、回り将棋で遊んでもらっていた。 ある日、父親が宿直室にテレビが入ったので見においでというので、勇んで見に行った。家にはテレビが無く、存在すら知らなかった。 入口の引き戸をあけると土間で、宿直室の上がり框の下は古新聞や、がらくたが並んでいた。部屋の奥のテレビに何か映っているのが見えた瞬間、記憶は数年後の『チロリン村とくるみの木』の画面へ飛んでしまう。 立てかけてあったガラス板に気付かず、踏み割って怪我をしてしまったのだった。医者にいけば縫ったであろう傷は、綺麗に切れて痛みが無かったこともあって、赤チンと包帯で治ってしまった。 画面に映っていたのは、野球かプロレスだったと思うが、はっきりとした記憶はなく、尋ねる相手も今は亡い。傷跡だけが今でもはっきりと残っていて、テレビを見ながら無意識に触っていることがある。 |
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