めばえ
もしもあの日あなたに逢わなければ♪2歳から3歳を過ごした離島、長崎県対馬での人生最初の出逢い。 |
▼めばえ/1963年7月号 小学館の学習雑誌対象年齢1〜4歳 |
ネギ坊主と水飴
関東では国境の長いトンネルを抜けると雪国だが、国境の島では丘を超えると桃源郷があった。 家の前の坂道を父親に手を引かれて上ると、眼下に田園風景が広がった。季節は春。一面の緑はネギ坊主畑でモンシロチョウが飛び交っていた。 ネギ坊主はネギの花だが、3歳の私にはネギ坊主であって、野菜のネギとは結びついていなかった。そして、モンシロチョウはネギ坊主畑に集まるのだと思いこんだ。 畑の前には雑貨屋があり、水飴を買って貰った。割り箸に巻き付けられた飴は青いセロファンに包まれていた。黄金虫は金持ちだ♪に出てくる水飴を食べたのはこれが初めてだった。 丘の向こうの桃源郷のことは母親に何度も話して聞かせたが、春は過ぎ、その年の夏には島を出たので、想い出は父親と二人だけのものになった。 桃源郷の語源となった伝説では、主人公は帰路に目印をつけながら帰ったのだが、二度と辿りつけなかったという。私もあれほど見事なネギ坊主畑と青いセロファンの水飴には二度と巡り会う事はなかった。 |
▼ネギの花![]() 画像提供: Haira's Photo Gallery>> ▼目次 クリームキャラメルとスピッツ 若原一郎と紙テープ こだま号と絆創膏 栗饅頭とはじめてのおつかい コンデンスミルクとクリスマス ネギ坊主と水飴 招き猫とサーカス ガーベラとスキムミルク TVと宿直室 うぐいす姫と箱庭 鯛の骨とバナナ饅頭 昭和の生活コラム 総合目次>> トップページ>> |