コンデンスミルクとクリスマス
記憶に残る最初のクリスマスは3歳4ヶ月の時で、ケーキを食べた記憶はあるものの、味は憶えていない。思い出すのはコンデンスミルクの味だ。
その頃、父親が病気で入院していて、お見舞いにいただいた缶詰セットの中にコンデンスミルクがあった。白いラベルに紺で鷲のマークが描いてあり、フタに文字とマークが刻印してあったと思う。
父が甘い物は要らないというので病院から持ち帰り、母親が水で薄めたものを火にかけて飲ませてくれた。今ではコーヒー用か、お菓子の材料以外の使い方が思い浮かばないが、昔は母乳の代用としても使われたそうだ。
寒い季節だったことも手伝って、濃厚な甘い香りと味は忘れられない想い出になった。「ミルキーはママの味」というコピーがあるが、私の「ママの味」はコンデンスミルクに上書きされてしまっている。
《余談》〜母を訪ねて〜
5年前に「鷲のマークのコンデンスミルク」にもう一度逢いたくて、ネットで捜索した事がある。生活圏でも出先でも、見あたらなかったからだ。
鷲のマークを手がかりに探し続け、コンデンスミルクは1856年にアメリカのゲール・ボーデンが創製した鷲印加糖練乳が始まりで、現在は[Eagle Family Foods, Inc.,] が販売している事がわかった。
しかし、缶には鷲印[Eagle Brand]の文字はあるものの、何故か牛のイラストが描いてあり、かつての面影はなかった。
日本国内では「沖縄ではコンデンスミルクのことをメーカーにかかわらず鷲ミルクと呼ぶ。ネスレが販売し、鷲のマークが缶に描いてある」との情報が見つかったが、ネスレジャパンのサイトには、エバーミルクのコンデンスミルクしか無かった。
海外のサイトを捜し続けた結果、カナダのEagleのサイトで古いラベルが見つかった。ママの味はまさしくこのラベルだった。
現在、ネスレのサイトには関西限定としてイーグルの商品が紹介されている。生活圏では見あたらなかったわけだ。しかし、数年前に福岡に帰省した時には、見つからなかったのだが。
ネスレの缶は本国と異なり、往年の鷲のマークが描かれている。
そういえば、沖縄には伝統を重んじる習慣があり、大塚の『ボンカレー』も昔のパッケージのままだ。ネスレのコンデンスミルクに昔の面影があるのは、沖縄で生き残った鷲印が再び北上したのではないだろうか?