『ベムよりも げに恐ろしき 人の業』
BEMとはBug Eyed Moster。ベロが鏡に映る自分の姿のあまりの醜さに驚く場面があるが、その姿を知るや恩を仇で返す人間こそが醜い。
【ストーリー】
19世紀初頭、一人の学者が正しい心を持った人口生命を作る研究をしていた。学者は研究半ばにして亡くなり、永い年月が過ぎた後、実験室の壷の中に残された培溶液から三つの生命が誕生した。それは醜い姿の怪物だったが、様々な超能力と正義の心を持っていた。異端であるが故に迫害を受けながらも「人間になりたい」一心で人間の為に戦う。
怪獣ブームが一段落した頃、子供達の間に妖怪・怪奇ブームが訪れた。当時の少年誌には『ゲゲゲの鬼太郎』、『どろろ』、『猫目小僧』が連載されていた。
TV番組では実写の『悪魔くん』が最初だったと思う。アニメーションでは『ゲゲゲの鬼太郎』。続いて『河童の三平』、『怪奇大作戦』、『妖怪人間ベム』がほぼ同時期に放映された。
『妖怪人間ベム』は異色だった。怪奇物とはいえ通常は主人公に支持者がいるものだが、ベム達は誰にも愛されず孤独だった。ベム、ベラ、ベロの3人が家族ではないのに血縁であるかのような設定は、話に膨らみをもたせる為だけではなく、一人ではあまりに寂しすぎるからだろう。
彼らは「人間になる」ことを夢見て戦い続けるのだが、「どうすればなれるのか? 誰が約束したのか?」が番組内で提示された記憶がない。最終回では見ているこちら(人間)が見捨てられたような気がした。
主人公が徹底的に不遇であるという希有な物語にも、当然ながらスポンサーがついていた。同じスタッフの前作『黄金バット』は大塚グループだったが、『ベム』はロッテだったと思う。
今なら食品メーカーのスポンサーは、作品の内容の良さとは別の次元の理由でつかないだろうが、当時の『どろろ』はカルピス劇場だった。
そんな鷹揚な時代に、これらの名作が誕生したのだが、現在は放送コードに触れるのか、地上波で放映される事がないのが残念だ。
[主題歌・歌い出し]
闇にまぎれて生きる 俺たちゃ妖怪人間なのさ〜