ウサギとカメ:バターココナツvsココナツサブレ
シスコ〜ココナツサブレ〜アロハ〜ココナツサブレはシスコ〜♪
ココナツ入りのビスケットといえば、日清製菓の『バターココナツ』(昭和43年)を思い浮かべる人が多いと思うが、シスコの『ココナツサブレ』(昭和40年)が先だ。その間に東鳩の『ハイココナツ』が生まれている。
『バターココナツ』は発売と同時に大ヒットした。先に出た『ココナツサブレ』を超えた理由は、『ココナツサブレ』があくまでもサブレのサクサク感とココナツ風味を大事にしたのに対して、『バターココナツ』はリッチなバター風味を前面に押し出したのが受けたのかもしれない。見た目も照りがあって食欲をそそった。
さらにTVCMでの露出が多かったのと、パッケージに誇らしげに掲げられた「世界食品オリンピック・モンドセレクション・菓子部門金賞」のゴールドメダルが効いたのだと思う。 昭和43年といえばメキシコオリンピックの年だ。金メダルラッシュに沸いた東京大会の夢よもう一度。陳列棚で輝くメダルに目がいかぬはずはない。
平成3年。シスコは日清食品グループに加わり、日清シスコとなる。 一方、日清製菓は昭和59年から中国に進出。菓子部門の国内生産を打ち切り、平成4年に上海に合弁会社を設立した。以来、輸入品の『バターココナツ』と日清シスコの『ココナッツサブレ』が競合することとなった。
同じ日清の名(日清食品と日清製菓は別の会社で資本関係はない)の元にライバルが並立するという紛らわしい事態も、平成14年8月にワールドフーズ(旧・日清製菓)の倒産によって終止符が打たれた。子会社の不動産取得などが裏目に出たのだという。
日清シスコは健在だ。そのラインナップはシンプルで、シリアルの『シスコーン』や『エースコイン』ビスケットは現役だ。『ココナッツサブレ』の姉妹品に『バターサブレ』なるものがあるが、『バターココナツ』へのオマージュではないかと思うのだ。
時代の先頭を駈けて抜けて消えた 『バターココナツ』。地道に菓子作りを続けて生き残った『ココナッツサブレ』。無冠の勝者にメダルを贈りたい。
《補遺》
上海佳通日清食品有限公司から『バターココナツ』を輸入販売していたサニーデライト株式会社は、2006年6月1日に「日清製菓株式会社」へ改称。現在も輸入販売は続けられている。