ポパイのホウレンソウ: ポパイ
「人生はチョコレートの箱のよう。開けてみるまで中身が分からない」。
憧れの君は缶の中だった。
はやる気持を押さえつつ、缶切りで切り取ったフタをそっと開ける。中にぎっしり詰まっていたのは、幼い頃から見慣れている「ほうれん草のお浸し」に見えた。
理屈はわかっていても、過剰な期待が理性を押さえ込む場合がある。経験する前のキスはレモンの味…の如く。子供の頃にTVアニメ『ポパイ』で知った「ホウレンソウの缶詰」もその一つ。
興味はあっても目にすることが無かったアメリカの「ホウレンソウの缶詰」。バブル期の円高で輸入食品が近所のスーパーにも置かれるようになり、邂逅となった。以後、買い物に出かける度に「ホウレンソウの缶詰」との逢瀬を繰り返した。
が、ラベルには「内容物:ほうれん草の水煮」と書いてある。それ以上でも以下でもないはず…なのだが…ポパイがムシャムシャ食べていたアレは日本のソレとは違うのではないか?
思い詰めたあげく、ついに口にする日がやってきた。棚から買い物かごに入れ、レジへ。なんとなく恥ずかしい。レジの娘の視線が…
さて、缶の中のお浸しを指でつまんで味見…「ほうれん草じゃないか」…
煮えすぎのお浸しだ。「箸で切れる程」は上等なステーキ肉の誉め言葉だが、これは(日本人には)いただけない。離乳食を口にしたことがあれば、それを想像するのがわかりやすいだろう。
ウワァ〜オ!なんてこったい!