昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: april.2004
失恋レストラン  〜まんがの中の憧れの食べ物〜
「片想い」。世の中にこれ程、甘美なものがあるだろうか? 成就すれば見えてしまう現実を、妄想という甘いオブラートで包みこむ。想いのままである。

「絵に描いた餅」。届かぬが故に募る想いは、やがて心の中に至高の一品を作り上げる。

今ほど豊かではなく、海外旅行等、夢のまた夢だった子供の頃。TVやまんがで出会った素敵な食べ物への憧れは片想いにも似て、絵に描いた餅を神格化した。 大人になって、実際に口にする機会が訪れても、断じて彼の君ではない。

これは、憧れの食べ物達への失恋レポートである。
小池さん
小池さんのラーメン: オバケのQ太郎

初デートの日、憧れの君はきっかり3分後にやってきた。

初体験はマニュアル通りに完璧に済ませたかった。『オバケのQ太郎』で知ってから十数年、シチュエーションは奇しくも当の小池さんと同じ、侘びしいアパートの一室だった。

『オバケのQ太郎』で、新婚の小池さんが奥さんにインスタントラーメンを食べさせてもらえず、「ラーメン…ラーメン…」とうわごとのようにつぶやくエピソードがあった。それほどまでに美味いものなのか… 以来、「ラーメン…ラーメン…」と憧れ続けたのだが、僕は食べる事が出来なかった。

小池さんのラーメンが『日清のチキンラーメン』であろうことは放送当時から確信していた。味付きの袋麺にお湯をかけて作るインスタントラーメンを他に知らなかったからだ。が、僕の母親は食べさせてはくれなかった。

というのも、僕の出身は福岡。つまりラーメンといえば《とんこつ》なのだ。『チキンラーメン』の縮れ麺と醤油風味は口に合わなかったのだろう。母親は自分が認めないものは子供にも与えようとはしなかった。

とはいえ、《とんこつ味》のインスタントラーメンが世に出たのは、1979年の『ハウス王風麺』が(全国区では)最初だったのだが、地元には『マルタイ・棒ラーメン』というインスタントには希なストレート麺(しかもノンフライ)の逸品があって、我が家はもっぱらこれだった。

で、初体験は学生時代に、一人暮らしのアパートで迎えることと成った。

さて、まずはスープをすする。うん??想像していた東京ラーメンじゃない… 麺はつるつるとすすれるはず…が縮れて細い… カップヌードルではないか??

「ラーメン…ラーメン…」満たされない僕の口元は小池さんの波型になっていた。

(注:妄想に失恋しただけで、チキンラーメンそのものは好きです。)
▼オバケのQ太郎
昭和40年8月29日〜42年6月28日
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▼小池さん
モデルは、藤子不二雄と同じトキワ荘出身の鈴木伸一。

▼チキンラーメン/日清食品
昭和33年(1958年)8月25日、発売。

▼マルタイ・棒ラーメン/株式会社マルタイ(旧・マルタイ泰明堂)
昭和34年(1959年)11月  「即席マルタイラーメン」発売。

▼《とんこつ味》のインスタントラーメン
九州とんこつ味スープの即席化第1号は、 1969年( 昭和44年) 8月発売の袋麺、マルタイ「屋台ラーメン」。

▼ハウス王風麺/ハウス食品
1979年10月〜 販売エリア/関西、中国地区(のちに全国)

▼ハウスうまかっちゃん/ハウス食品
1979年9月発売。王風麺の九州バージョンだったと聞いたことがある。
当初、九州(関西?)限定で、後に全国区に。

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