昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Update: april.2004
「練金術」〜 イミテイション・ゴールド
色がちがう 味がちがう 香りがちがう 値段がちがう♪
戦後、急速に欧米化し、豊かになった食生活。とはいえ、いかんせん資源と経済力が足かせとなっていた。 が、足らぬ足らぬは工夫が足らぬ。 昭和の錬金術をレポートする。
▼ イミテイション・ゴールド
作詞・阿木燿子/
作曲・宇崎竜童/唄・山口百恵
限りなく松茸に近い椎茸:松茸の味お吸いもの

1930年代、岩出博士によって松茸の香りの成分が抽出・分析された。主成分である桂皮酸メチルエステル、マツタケオールの化学合成に成功する。

戦前の松茸は高級品ではなく、もっとも安価なキノコの一つで、スキヤキの増量の為に用いられたという。戦後、燃料としてマキが使用されなくなり、それまで管理されていた松林の環境が大きく変わった。収穫量が減少し価格が高騰。庶民の手の届かない高級品へ押し上げられていった。

1953年、永谷園から「お茶漬け海苔」、渡辺製菓から「粉末ジュース」が発売され、以後インスタント食品のブームを迎える。

1955年から農林省食品総合研究所でフリーズ・ドライ技術の研究が始められ、昭和40年代に実用化が始まった。この技術で食品は色・形状を保ったまま長期保存・瞬時復帰が可能になり、インスタント食品の多様化に拍車を掛ける事となった。

そんな時代に登場したのが永谷園の『松茸の味お吸いもの』だ。永谷園のサイトのコピーを引用する。

〜ほどよい松茸の香りで愛される定番の味。海苔・干椎茸・ふ・ねぎとおなじみの具がたっぷりのお吸いものです〜

松茸は含まれていないうえ、味には言及していない。それでも当局からクレームが付かないのだから、『松茸の香り』はあっても『松茸の味』は実体のない幻想なのかも知れない。

『松茸の味お吸い物』は『お茶づけ海苔』に次ぐロングセラーで、和風スープ(おすいもの)商品でのシェアは94%だという。イミテイションには違いないが、『松茸の味お吸い物』という本物といえよう。

(*参考文献:農林水産研究・つくばリサーチギャラリー「食品加工技術発達史 」 )


《試食》
味は紹介するまでもないだろう。今回、記事を書くにあたって、面白い情報を見つけた。俗にプリンに醤油をかけるとウニの味がすると言われるが、科学的なセンサーを使って調べたところ、ほぼ同じデータを示すという。

そこで考えたのだが、プリンにはバニラや乳成分が含まれているし磯の香りもしない。生に近い半熟の卵の黄身に『ごはんですよ』を混ぜてみたらどうだろうか?誰か試してみません?\(`o'゛;)
▼松茸の味お吸いもの
松茸の味お吸いもの
1964年発売。

▼岩出亥之助
1899〜1988
東京帝国大学文部教官、三重大学農学部教授を経て岩出菌学研究所所長へ。農学博士。

昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Since 25 Dec. 2001