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昭和30年代生まれに贈るオンラインマガジン
Updated 2009/04/01
陽のあたらない名車列伝
幻の自動車雑誌、ニ亥社『カークラシック』の記事から、忘れ去られた名車を発掘する。


Author : Jack
マツダ キャロル・R60 1970年
フルラインロータリーを目指すマツダの末っ子として,第10回東京モーターショーに出品され,注目を浴びたキャロル・ロータリーが,ようやく販売にこぎつけた.

残念なことに,軽自動車としての認可は降りず,360ccのマイクロ・ロータリーは日の目をみなかったが,カペラの12Aエンジンをシングルローター化した6Aは60hpを発揮し,車重500kgのキャロルは驚異的なパワーウエイトレシオを与えられる事となった.

走り出して驚くのは,振動が心配されたシングルローターがスムーズかつ静粛なことだ.ファミリアにはついていた燃料カットオフをもたないので,2速ではストレスなしに8000近くまで回ってしまう.

パワフルさはこのクラスでは比べるものが無く,踏めば4速で6000回転を超えても鋭敏に応答する・・・

*以上、カークラシック1970年10月号より抜粋。文中の句読点「,.」は原文ママ。

【解説】
車体はキャロル360の2ドアがベース。増大したパワーを受け止める為にワイドトレッド化され、12インチのワイドタイヤをカバーするオーバーフェンダーが目を引く。

タコメーターの追加とファミリアから移植されたバケットシート、タルボ型フェンダーミラーの他は、ベースとなったSTDと基本装備は共通。リアサイドとリアウインドウはアクリル化された。

マツダR60として輸出され、71年のスパ・フランコルシャン24時間レースでクラス優勝。英国のクラブマンレースでは、ダットサン120A(チェリークーペ)やBLMCミニ、シムカ・ラリーと死闘を繰り広げた。

キャロルの生産終了に伴い、発売から4ヶ月で販売終了。生産台数は100台を僅かに超える程度だったという。REを搭載予定だった後継車、シャンテの計画変更に伴う2年のブランクに、オイルショック、排ガス規制といった社会状況の変化が生じ、ロータリー・ミニは一代限りとなった。

一説によれば、マツダのRXシリーズのRX-1が欠番なのは、時代のアダ花に終わったR60へのオマージュといわれる。

次回予定 日産セドリック・プリンセス


上記の記事は実在の人物・商品・団体名を使用していますが、フィクションであり、事実とは異なる記述が含まれています。
キャロル・ロータリー
車名:マツダキャロルR60 型式M6A
会社名:東洋工業(株)
車種・用途 :乗用
機関:水冷ヴァンケル式シングルロータリー
排気量:573cc 60ps/6500rpm
変速機:4MT 駆動方式RR
最高速度:165Km/h

▼発売前の広報写真
キャロル・ロータリー
市販時には無くなったプレストのサブネームに注目。


【幻の名車列伝】
マツダ・キャロル・ロータリー
本田・S1300
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【子供時代の自動車レポート】
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キャロル・ロータリーの真実
さて、事実はどうであったかといえば・・・

軽らしからぬ小さな高級車として人気を博したキャロルも、モデル末期にはライバルのパワー競争について行けなくなった。

当時、ロータリーエンジンに社運をかけていたマツダは、キャロルにシングルローター360ccエンジンを積み、起死回生を目論んだが、キャロル・ロータリーの型式申請は認可されなかった。

理由は当時のFIAの「ロータリー排気量はレシプロの2倍に換算」というレース規定に照らせば、軽自動車枠に収まらなかったからと言われる。運輸省が同業他社の反対の意向を汲んだというのが当時のメディアの見解であった。

シングルローターの振動対策に手を焼き、商品化を断念したとの説もあるが、後継車『シャンテ』発表時の『カーグラフィック』誌には、マツダのコメントとして、「我々は認可が下りればいつでも売り出せる」との記述がある。

当時の小型乗用車の税法上の排気量換算はレシプロの1.5倍で、573x2ccのカペラは2000ccクラスとして扱われていた。この理屈なら、他社の反対以前にロータリーの360ccに認可が下りるはずはない。

マツダが承知の上で押し通そうとしたのは、軽規格が550ccに拡大されるのを見込んで(360x1.5=540cc)いたのではないだろうか? エンジンの新規開発に他社の足並みが揃わず、法改正が遅れたのかも知れない。


キャロルー・ロータリーの画像は合成です。試作車の写真は発表されていません。
▼ロータリー搭載予定だったシャンテ マツダ シャンテ




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