DMと雑誌広告/1970年代
中〜高生時代。私宛の郵便物は年賀状と文通相手からの手紙くらいだった。今のように進学関連のDMが個人宛に届くということも無かった。
例外は雑誌『リーダーズダイジェスト』だった。どこで調べたのか、宛名は私で、「選ばれたあなたは特典付きで購読できます!」という、ちょっと胡散臭いキャッチが書いてあった。サンプルが届いた事もあったように思う。
『リーダーズダイジェスト』は米国ではポピュラーな総合誌で、時事問題から軽い読み物まで広範囲の至極真面目な内容だった。学校の図書館に置いてあったので、小遣いをはたいてまで買おうとは思わなかった。
勧誘広告といえば、当時の雑誌には何故か外来の商品の綴じ込みハガキが多かった。『TIME』や『LIFE』、『リーダーズダイジェスト』といった雑誌。日本メールオーダーの『ブルワーカー』や通信教育の『講談社フェーマススクールズ』
等々。
実は中学生の時、『フェーマススクールズ』の資料請求ハガキを投函した事がある。『フェーマススクールズ』というのは、元々はアメリカの美術通信教育システム『フェーマス・アーティスツ・スクールズ』で、テキストには著名なアーティストの作品が使われていた。
私と同世代なら、綴じ込みハガキに印刷してあったノーマン・ロックウェルの「パイプをくわえたおじさんの横顔を描く手のイラスト」を見た事がある人は多いと思う。
このハガキは単なる資料請求書ではなく、アートタレントテストという入学試験の申し込み書で、送られてくるテストに合格した者だけが受講できるというフレコミだった。
当時の私は受講する気はまったく無かったのだが、どう評価されるか興味があった。結果はA〜Dにプラスとマイナスを加えた12段階の、Cプラスだったと思う。自信はあったのでちょっとガッカリした。
合格ということで入学案内も送られてきたが、返事は出さなかった。今から思えば全員合格だったのかも知れない。私の住んでいた地方には営業所がなかったからか、相手が中学生だからか、それ以上のセールスは無かった。
大人になってからは、読む雑誌が変わったので『フェーマススクールズ』の広告は見かけなくなり、代わりにアカデミー出版の英会話教材『イングリッシュアドベンチャー』を目にするようになった。
というような事を、『イングリッシュアドベンチャー』のテキストの作者シドニー・シェルダン氏の訃報を耳にして思い出した。