ハイセイコーと藤正樹/1973年
さらばハイセイコー〜♪
競走馬の名前を挙げよと言われると、コータローとマキバオーが五本の指に入ってしまう私だが、実在の馬で最初に知ったのはハイセイコーだった。
競馬中継を見たわけではなく、騎手の増沢末夫が歌った『さらばハイセイコー』がヒットしたことと、後述する別の理由で知ったので、勇姿よりも名前が記憶に残っている。
競走馬の名前には独特のニュアンスがある。端からメジャーになることを諦めたかのような面白い名前も多いが、ハイセイコーもどちらかといえば、タンスニゴンやスベラーズ式の単刀直入な名前だ。
学生時代に友人が買ったスポーツ新聞に、競走馬の名前は何でもいいわけではなく、「馬にふさわしいもの」しか登録出来ないと書いてあった。ダメな例があげてあったのだが、同じ紙面にのっていた現役馬ミズトンボとの差は理解できなかった。
馬らしい名前とお墨付きのハイセイコーは、その人気に便乗して、あろうことか人間のキャッチフレーズに使われた。演歌のハイセイコー“藤正樹”だ。
傘を差す手のか細さが〜♪
デビュー曲の『忍ぶ雨』以降は尻すぼみになったのでマイナーな存在だが、欽ちゃんの『スター誕生』出身で、ゲストとして度々出演していた。同世代なら紫の学生服と坊主頭を憶えている人も多いと思う。
オーディションの時から歌は抜群に上手かったが、生真面目なルックスが災いしてか、アイドル扱いだった新沼謙冶と違って、明星&平凡のグラビアを飾る機会も少なかった。
印象に残る名馬は人それぞれだろうが、その名が人間に冠されたのは後にも先にもハイセイコーだけではないだろうか?